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I want none,I wanna talk with you

なんにもいらないから ただはなしをしよう

aiko-May Dreamレビュー

aikoさんのニューアルバムが発売されたので、聴いてみた感想をざざざっと…


聴き進むうちに思ったのは前半に良い曲が集中してしまっていること。
これはaikoに限った話ではなくて現在のJPOPシーンにおいてこういう傾向が顕著に現れてるように思うけど。
アルバムというものがボリューミーになればなるほど最後の最後まできちんとアルバムを聴き続けられる体力を現代のリスナーは持ち合わせていない。
その為にアルバム序盤からキャッチーな曲を並べ飽きさせまいとするあまり、後半にたどり着いた頃にはお腹が満たされてしまい、結果クオリティにばらつきが出てトータルバランスが保てなくなるという…。
かく言う自分もいちリスナーとして、収録曲が多ければ多いほど嬉しいと感じてしまうのは確かなので一概にこの傾向を悪いとは言えないのだけど、最近になってようやく収録曲は10曲くらいがちょうど良いんじゃないかと思ってきてはいる。
今回は、近年のaiko作品の中でも後半がかなりあっさりとしていて失速してしまった感が否めない。
とは言いつつも蒼い日の必殺aikoバラードで終わり良ければすべて良しと思わせてしまうところは流石としか言いようがないけど。


気になった曲のピックアップ

1.何時何分
アメちゃんうんぬんに気を取られがちだけど、こういうミドルテンポのエイトビートにマイナー進行のブリッジミュートでずんずん進んでいくナンバーはaikoってあんまりやってこなかったんじゃないかな。
aikoの曲はリズムのバリエーションで曲に違いを持たせがちなのでこんなにシンプルで力強いアプローチは意外と新鮮に感じられて良かった。
Aメロの歌メロの載せ方が譜割り含め素晴らしい。
気になったのはキー設定。
aikoも喉の衰えがだんだん高音から忍び寄ってきてるんだと思うけど、サビのさようならー・好きだよーというフレーズのケツがどっちもファルセットになってしまっているのがなんとも惜しい。
ロージーを伸び伸び歌ってた頃の全盛期のaikoならここは地声でいけたんではないかなと思ってしまう。
オケががっしりとして力強いからこそ歌がそれを先頭で引っ張っていくぐらいの強さが欲しいと思ってしまうのは今のaikoには酷な事なのか。
あ、でもそう言えば何かのインタビューで今回はキーを全然気にしないで作ったからファルセットが多くなったみたいな話をしてたな…。
うーん、まあでもライブ動画とかを見ていても確実に声は出にくくなってきてるように思うから、この先どうなっていくか不安要素の1つではあるなあ。
と色々文句をつけたけど、このアルバムの中では2番目に好きな曲。

2.あたしの向こう
初めて聴いた時の印象は現代的なロックチューン。
このBPMの速さでaikoお得意のパンクチューンになってないのはボカロ出身の人がアレンジで付いてるからなんだろうな。
キメが複雑なので一回聴いただけだと曲の構造がイマイチ把握できないっていうのは現状のJPOPにおいてマイナスポイントだと思うけど、理解しようと思って何度も聴いてるうちにエモーショナルさに当てられヘビロテしてしまうのは計算の内なんですかね笑
そこらへんのロックバンドよりもよっぽどエモい演奏とaiko大先生の切実な歌詞が一体となって生まれる無敵感は、忘れかけていたロック小僧の血を呼び醒ましてくれた気がする。
速い曲ってわりとすぐに飽きがちだけど、この曲は複雑さを極めているせいかスルメに楽しめるのもよいところ。
アルバムの中では1番好き。

3.冷凍便
こんなタイトルaikoしかつけねーよ笑、と思いつつ。
お得意のマシンガン詰め込み譜割りが遺憾なく発揮されている16ビートのシティ感がある曲。
途中のジャジーパートには思わず、うわあこれは格好良いって思っちゃうじゃんって口に出して言ってしまった。
イントロが若干冗長なのが少し残念かな。

4.もっと
4分の3拍子。こんだけキャリアが長いにも関わらず、なんだかんだこういうタイアップに耐えうるような曲を書けるaikoさん流石っすみたいな曲。
キャッチーだしaikoにしてはやたら素直なコード進行。とりたてて文句をつけようがない。
ダメ恋見てたこともあってわりと思い入れがある笑

5.信号
CMタイアップ曲。初めてテレビから流れていたこの曲のサビを聴いた時はaikoだと思わなかった。そのくらいサビは頭からずっとファルセットというaikoにしては珍しいキー設定の曲。
Mステとか地上波の音楽番組で披露してたから、アルバムのリード曲なのかな。
サビに新しさを感じるけど、Aメロとかはいつものaikoの変態メロディーが炸裂してる。
アレンジも彼女らしさを感じるので、こういう曲はaikoの王道と言って差し支えない気がする。

7.愛だけは
ピアノバラード。サビのメロディーで勝ってる曲。こういうのをきっちり作ってアルバムにぶち込んでくるあたりある意味aikoは抜け目ない作家なんだと思う。
昔だったらもっとオーバーアレンジで何回か聴いたら飽きそうな感じになってそうだけど、そこは大人になったのか楽器隊の引き算がうまい具合に機能して曲の耐用年数を上げてる気がした。

各曲のピックアップは以上。

総評
通しで2周くらいしてみて、何時何分〜愛だけはに至るまでこいつはマジの天才だなと思うしかないほど、シングル含め集中豪雨みたいな良曲を連射されぶちのめされる。
というかこれが12枚目のアルバムだということに愕然としてしまった。
この人今までどんだけ曲作ってきたんだろう…年輪を重ねてきた凄みというかなんというか。
今作もaikoの良く言えば普遍性、悪く言えばマンネリ感は健在。
アレンジャーは長年二人三脚してきた島田さんから離れボカロ出身の人を起用したようなのだけど、目に見える変化が感じられないのはaikoさんの凄さなんですかね笑
全体として捉えてみると、これでアルバム引っ張って行きますよ的な分かりやすいリード曲はないものの前半から粒ぞろいの良曲にじわじわとボディーブローを喰らわされ、折り返しくらいからは試合が若干間延びするものの最後は判定勝利をもぎ取っていく…チャンピオンの防衛戦みたいなアルバムだなと思った。笑


余談
Amazonに投下されているaikoファンの熱心なレビューとかを読んでみたら、aikoの良さって人によってまったく違ってしまうことに驚いた。
泡のような愛だったは個人的に好印象なアルバムだったのだけど、人によってはシングル落ちの寄せ集めみたいとか言われてたし…
辛口レビューをしてる人はアレンジャーの変更と絡めてることが多かったけど、そんなに気になるかなというのが個人的な意見。
先行で出したシングル4枚のカップリングに良い曲が多かったので、そこらへんをアルバムの曲と交換しとけばもっと良い内容になったのに…
次回作は先行シングルなしで10曲入りのアルバムとか出してみて欲しいなあ。
aikoってファンからもシングルどれ切ってても別にいいよって思われてるみたいだから、そのくらい挑戦的なことした方がマーケティング的にも面白いと思うんだけど。

May Dream(初回限定仕様盤A)(Blu-ray Disc付)

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